この「Sustainable Apparel Business Hub」の運営に関わるようになってから、アパレル業界、特にサステナビリティに対する見方が本当にガラッと変わりました。以前は「環境に良い素材を使う」とか、そういうフワッとしたイメージだったんですけど、このサイトが目指しているのはもっと具体的で、構造的な変革なのです。国内外の法規制の動向や、それをクリアするための新しいテクノロジー、企業のリアルな取り組みといった一次情報を通じて、ファッション業界全体がサステナビリティを「当たり前」のインフラとして実装していく。そのための羅針盤のような存在を目指しているんだなと、日々感じています。たくさんの情報に触れる中で、個人的に「これは未来が変わるぞ!」と特にワクワクしているのが、「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」という考え方なんです。
デジタルプロダクトパスポートって、言葉だけ聞くとちょっと難しそうです。でも、非常に簡単に言うと、洋服一枚一枚に付けられる「デジタルの戸籍謄本」みたいなものなんです。私たちがお店で手に取ったTシャツのタグについているQRコードをスマホでピッとかざすだけで、その製品に関するあらゆる情報がわかるようになる。例えば、原料のオーガニックコットンがどこの国の農場で栽培されたのか、染料にはどんなものが使われているのか、どの工場で誰が縫製したのか、そして、どんな船で日本まで運ばれてきたのか、なんていうサプライチェーンの全貌が見えるようになるんです。さらに、お手入れの方法や修理の仕方、そして着古した後にどこに持っていけばリサイクルできるのかまで。非常にないですか? これって、私たち消費者の「服の選び方」を根底から変える力があると思うんです。今まではデザインや価格、ブランドイメージで選んでいたものが、「この服が持つストーリー」や「環境への配慮」、「作っている人へのリスペクト」といった新しい価値基準で選べるようになる。そんな未来を想像すると、本当にワクワクします。
「でも、それって本当に実現できるの?」と思いますよね。当初は半信半疑でした。でも、これ、もうSFの世界の話じゃないのです。欧州ではすでに法制化の動きが進んでいて、2026年頃から段階的に導入されることが決まっています。このパスポートの信頼性を担保するために、改ざんが難しいブロックチェーン技術が活用されたりしています。実際に、この分野のテクノロジーを開発しているAvery Dennison社のような企業は、ブランドが簡単にDPPを導入できるプラットフォームを提供し始めています。下の図は、彼らが提唱するDPPがどのように機能するかのイメージです。製品が作られてから、消費者の手に渡り、そしてリユース・リサイクルされるまで、一貫してデジタル情報が紐づいているのがわかりますよね。すでに一部の先進的なブランドでは、製品にDPPを付けて、トレーサビリティを証明する取り組みが始まっているんです。
(出典:Avery Dennison公式Webサイト)
このデジタルプロダクトパスポートが当たり前になった世界では、私たちのファッションとの付き合い方は、もっと深く、豊かなものになるはずです。買った服のストーリーを知ることで愛着が湧き、正しいケアの方法がわかれば、もっと長く大切に着られるようになる。もし破れても、修理方法の動画にアクセスできるかもしれない。そして、いよいよ手放す時が来ても、その服が次にどんな資源に生まれ変わるのかを知ることができる。それは、服を単なる「消費物」としてではなく、自分の一時期を共にした「パートナー」として捉える感覚に近いのかもしれません。このサイトで日々発信している一つ一つのニュースやレポートが、こうした未来に繋がる重要なピースなんだなと、中の人間ながら改めて実感しています。この大きな変化の波を楽しみながら、皆さんと一緒に未来のファッションの在り方について考えていきたいですね。
デジタルプロダクトパスポートが変えるファッションの未来
サステナブルファッションの未来を一緒に創りませんか?
当サイトでは、DPPをはじめとするサステナブルファッションの最新トレンドを定期的に発信しています。メールマガジンにご登録いただくと、業界の最新情報をいち早くお届けします。