革新的な酵素分解法を開発
京都に本社を置くグリーンテキスタイル株式会社は11月7日、竹から繊維を抽出する革新的な新製法を開発したと発表した。この新技術により、従来の製法で使用されていた化学薬品の使用量を80%削減でき、製造過程での環境負荷を大幅に低減できるという。同社は2026年初頭から商業生産を開始する予定で、既に大手アパレルメーカー3社と供給契約を締結したことを明らかにした。
従来の竹繊維(バンブーレーヨン)製造では、竹を溶解するために水酸化ナトリウムや二硫化炭素などの強い化学薬品が使用されており、環境団体からの批判を受けていた。グリーンテキスタイル社が開発した「酵素分解法」では、特殊な酵素を使って竹の繊維質を分解するため、有害な化学物質の使用を最小限に抑えることができる。
品質も向上、強度15%アップ
同社の研究開発責任者である佐藤美咲博士は、「竹は成長が早く持続可能な資源として注目されてきましたが、製造プロセスの環境負荷が課題でした。今回の技術革新により、真の意味でのサステナブル素材として竹繊維を提供できるようになります」と説明する。新製法で製造された竹繊維は、従来品と比較して強度が15%向上し、吸湿性も20%改善されているという。
同社は既に京都府内の自社工場で月産10トンの試験生産を開始しており、2026年には月産100トンまで生産能力を拡大する計画。製品は主に下着、スポーツウェア、タオルなどの用途で使用される予定だ。価格は従来のバンブーレーヨンより約15%高くなるが、環境性能の高さから大手ブランドの関心を集めている。
グローバル市場への展開も視野
環境省の担当者は、「日本企業による革新的な技術開発は、国内のサステナブルファッション産業の競争力向上に大きく貢献する」とコメントしている。同社は今後、この技術の国際特許取得を進め、グローバル市場への展開も視野に入れている。