サステナブルファッションへの取り組みを加速
スウェーデンの大手ファストファッションブランドH&Mは11月7日、2026年末までに全製品ラインナップの50%以上をリサイクル素材またはその他の持続可能な素材に転換する計画を発表した。同社のCEOヘレナ・ヘルメルソン氏は、「消費者の環境意識の高まりに応え、業界全体をリードする責任がある」と述べ、この野心的な目標達成に向けた具体的なロードマップを提示した。
H&Mは既に2013年から衣料品回収プログラムを展開しており、これまでに世界中の店舗で14万トン以上の衣料品を回収してきた実績がある。今回の発表では、この回収された衣料品を自社製品の原材料として活用する「クローズドループ・リサイクルシステム」の構築を目指すとしている。特にリサイクルポリエステルとリサイクルコットンの使用量を大幅に増やし、新規石油由来原料への依存度を60%削減する計画だ。
AIを活用した需要予測システム
同社は既にスウェーデンとドイツの5つの工場でリサイクル繊維の試験生産を開始しており、2025年末までにこれをヨーロッパ全域の15工場に拡大する予定。また、AIを活用した需要予測システムの導入により、過剰在庫を30%削減し、廃棄される衣料品の量も大幅に減らす計画を進めている。
ファッション業界は世界の温室効果ガス排出量の約10%を占めると言われており、大手企業の取り組みは業界全体に大きな影響を与える。H&Mの今回の発表は、競合他社にも同様の取り組みを促す契機となることが期待されている。環境団体グリーンピースは、「具体的な数値目標と期限を設定した点は評価できる」としながらも、「実際の進捗を透明に報告し続けることが重要」と述べている。
2030年カーボンニュートラル目標
H&Mは2030年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを達成する目標も掲げており、再生可能エネルギーへの投資も拡大している。同社の株価は発表後2.3%上昇し、投資家からも好意的に受け止められた。